システム最適化

システム最適化に関して取り組んでいる研究テーマのうちの一部を,以下に紹介します.


  
 数理計画法による飛行軌道最適化法を拡張することで静的な機体設計も扱えるようにした複合領域最適化手法は,有翼式宇宙輸送機のシステム設計に適用する上で高い計算効率を有します.
 この手法を発展させ,機体設計の現場で更に利用されるものにするために,様々なサブテーマで研究を行っています.例えば,1) 推進系ガスタンクサイジング,RCS (Reaction Control System) 解析,空力舵面駆動速度推算,等の詳細な設計解析モデルの実装,2) 複雑な最適化問題に対しても初期解を安定かつ簡便に生成する方法の開発,3) 制御変数の振動現象抑制法の開発,等が挙げられます.
 
 数理計画法は計算効率が高い代わりに,多目的最適化問題(複数の設計指標を同時に考慮する問題)を直接解くことができず,局所的にのみ優れた解にも陥りやすいとされています.そこで,多目的進化計算手法と数理計画法を複合させた複合領域最適化手法の研究を進めています.
 この手法により,例えば,複数の輸送ミッションで運用される多用途機に対して,ミッション間の性能のトレードオフを考慮しつつ,機体とミッション毎の飛行軌道を最適に設計すること等が可能になります.また,設計解析および運用に不確かさがあっても要求ミッションを達成する上での必要十分な性能余裕保証を可能にするシステム最適設計手法への応用にも取り組んでいます.
 高効率な再使用型宇宙輸送システムを実現する上で,高度補償ノズルを持つロケットエンジン(一例としてエアロスパイクエンジン)が,海面上から宇宙空間にわたる幅広い高度域で優れた性能を発揮することから注目されています.しかし,高度補償ノズルを有するエンジンは飛行環境によって性能が複雑に変化するため,それを搭載した宇宙輸送機のシステム設計は,より困難となります.
 そこで,エアロスパイクエンジンの簡易性能解析モデルを開発し,その入出力を模擬する近似モデルを用いて宇宙輸送機の複合領域最適化に組み込む方法を研究しています.

 

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